飼養管理レポート

 

2017年3月21日火曜日

冬期における子牛飼養環境の改善対策(北海道版)

※はじめに、今回の内容は北海道に限定されることをご承知下さい。

農林水産省は平成26年より「乳用牛ベストパフォーマンス実現会議」を開催しています。
これは乳用牛資源の確保と生産性向上を目的とした、乳用牛の増頭および泌乳能力や繁殖成績を最大限に発揮させようとする取組みです。
この主旨に添って北海道の状況を鑑みると、北海道特有ともいえる冬場の子牛事故率の高さが注目されます。

●北海道における子牛事故の実態
北海道NOSAI・家畜共済実績によると、乳用牛の胎子・子牛の死廃事故は45,568頭(平成26年度実績)に及ぶことが報告されています。また、(公社)北海道酪農検定検査協会が調査した北海道における分娩月別の死産率をみると、厳冬期(12月~3月)の死産率が高い傾向にあることがわかります(図1)。
このことから子牛の死廃事故を低減させること、特に冬期間の死産率を低下させることが乳用牛資源の確保につながると言えます。


図1 北海道における分娩月別死産率(平成26年)

●北海道における冬期間の子牛事故の特徴と対策
ウシは比較的寒さに強い動物と言われますが、子牛の場合は、ルーメンが発達していないためルーメン内の醗酵熱が得られない、被毛が薄い、皮下脂肪が少ないなどの理由から成牛のように寒さに強くありません。乳用牛の限界温度の下限は、搾乳牛-20度、乾乳牛-14度、育成牛-5度、哺育牛+13度とも言われ、厳冬期に産まれたばかりの子牛が濡れた状態で冷気にさらされると、急激な体温低下で死亡するケースも少なくありません。
よって分娩時には出生子牛の体を“乾かす”、“暖める”、“保温する”といった対応を行なうことが子牛の事故防止につながります。

●「冬期子牛飼養環境向上支援事業」の利用状況
分娩直後の子牛の寒冷ストレスは北海道の酪農家に共通する課題であり、冬場の子牛の事故率を低減させることは北海道の酪農家共通の目的と言えます。
このためホクレン農業協同組合連合会は、酪農家段階での「分娩時」および「分娩直後」の子牛の飼養環境向上により子牛事故(死亡・疾病)を防止することを通じて酪農家の所得向上と後継牛を確保する目的に、「冬期子牛飼養環境向上支援事業」を実施しています。
詳細は下の事業概要を参照下さい。

ホクレン冬期子牛飼養環境向上支援事業の概要

そしてこの事業の利用状況(平成28年度)をまとめたのが表1です。
この事業は冬期の子牛飼養環境を改善するためのメニューが数多く提示され、また酪農家の実質的負担額を考えてもメリットある支援に思われます。
しかし、その利用戸数は1,352戸と事業対象戸数(5,797戸)のわずか23.3の利用に止まるのが現状です。


表1 平成28年 ホクレン冬期子牛環境向上支援事業申込状況

現在、乳用牛資源の不足から市場相場は高値水準が続き、今後もその傾向が続く見通しのため、後継牛の外部購入は厳しい状況にあります。よって、自家産後継牛の確保が重要なカギになります。また、子牛の死廃事故を減らすことは自家産後継牛の確保にとどまらず、副産物収入の増加としても経営に貢献をもたらします。
今回ご紹介した支援事業は、子牛の飼養環境を改善させ、それを基に経営をより安定させることができる有効な事業と思われますが、今のところ利用者が少なく今後の動向が気になるところです。
この事業の実施期間は平成28年度~29年度までの2年間、あと1年で終了します。
興味ある方はお早めにお近くのJAに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

2017年2月13日月曜日

カーフウォーマー使用レポート(興部町)

平成28年度からホクレンが実施している「ホクレン酪農生産基盤強化対策事業」を利用してヒーター付き子牛加温装置(カーフウォーマー)を導入した酪農家の使用状況を見学してきたのでレポートします。

【カーフウォーマーのセラミックヒーターをオンにして準備】
平成28年11月に購入、FRPウチヤマ製(帯広、移動用カート付き)約10万円

















【分娩後の子牛を乾草で拭く】


















【カーフウォーマー内部、子牛の腹部から暖める構造】

















【直ちに子牛を入れる】

















【通気口から中の暖かさを感じる】


















【赤外線ヒーター付きハッチに移動】
















子牛はカーフウォーマーにほぼ半日入れ、体が乾いたらカーフハッチへ移す

畜主が語るカーフウォーマーの効果は下記のとおり
①子牛をハッチに移した際、震えなくなった
 (寒さで体温が奪われることが無くなった)
②ハッチに移してから初乳の“飲み”がよくなった

※下痢等への効果については今後確認していく

2014年6月2日月曜日

㈱雪印こどもの国牧場の新築牛舎

4月17日に竣工式を終えたばかりの㈱雪印こどもの国牧場の新牛舎を観てきました(6月1日)。


本日は“牛乳の日”で、全国各地でイベントが開催されましたが、こどもの国牧場も『牛乳まつり』を開催。
多くのお子様連れファミリーの来場でにぎわいました。




熱中症が心配なほどの一足早い真夏のような好天に、木陰が大人気だった牧場内で知る人ぞ知る人気スポットがこの新牛舎です。






新牛舎は牛や管理の仕事が目の当たりにできるように、24頭一列で広く見学通路がとられ、天井は高くセミモニタータイプの換気構造で、片側の壁がない開放型。
4頭毎に大型扇風機が設置され、明るく風通しがすこぶる良い構造。



牛にとって快適な環境を考慮した牛舎ですが、30℃を越す昼下がり、扇風機の回転音も力強い?涼しさで、見学のお客様にとっては一番快適な場所となりました。

 
ここ数日の日中の暑さにも採食量や乳量には全く影響がないとのこと、本格的な暑熱期はこれからですが、今年の夏は牛も人も大分助かりそう、とのことでした。




2014年5月8日木曜日

 農業生産法人「ロマンチック デーリィファーム」を訪問しました!!

【ロマンチック デーリィファームの概要】
設立     平成11年3月30日 
       (昭和21年、泰人氏の父、潤一郎氏が赤城原に入植)
資本金   500万円
構成員   代表取締役の須藤泰人、役員2名、従業員31名
所在地   群馬県利根郡昭和村赤城原915-1

・現在、ホルスタイン種1,200頭飼養、うち搾乳牛は700頭。
・ミルキングパーラーは12頭×2、1日3回搾乳で1回の搾乳に6時間程度かかるので洗浄やメンテナンスを含めると24時間稼働(1日3回集乳)。
・従業員は30名ほど、作業は2交替制で、今年も3名新入社員を採用、地元からも採用。

フル稼働のミルキングパーラー

【飼養管理の特徴】
・自牧場の乳牛はすべて育成でまかなっているとのこと。北海道からの導入、預託は一切していない。一部都府県の酪農家への販売をしているが、あくまでも自牧場での飼養が中心です。
・1,000頭もいる乳牛を効率的に管理するために、段階ごと、牛の状態ごとで別牛舎に管理しています。例えば乳房炎の乳牛はホスピタル牛舎に一括集約させて治療等しています。

乾乳牛舎

育成牛舎

哺育牛舎

【ふん尿処理】
・フリーバーン全体に地面の傾斜を利用して水を流すフラッシュシステムです。これで牛舎のふん尿はきれいに流すことができます。
・ふん尿はスクープ式発酵舎、急速発酵コンポストで堆肥処理されますが、水はそのまま流して処理することができます。
・また、このフラッシュシステムは暑熱対策としても役立っています。牛はすっかり慣れており少しも暴れたりしません。夏季などには気持ちよさそうに水に寝転ぶ姿が見られるそうです。

フリーバーンのふん尿を水で一気に流す

スクープ式(掻き上げ)発酵舎
【飼料】
・自給飼料は数年前までは行っていたが、現在は行っていないとのことです。
・周辺の畑作農家との兼ね合いもあるようですが、現在の飼料高の中、おからをエコフィードとして活用しているとのこと。
・飼料米はそのままでは給与できないため、思案中。試みとして、業務用(おせんべいやおかきの材料)の糊状に加工されたタイ米を使用したこともあるとのことですが、継続的に一定価格での確保が難しく導入には至っていないとのことです。

給餌の様子

飼料庫

インタビューにこたえる須藤泰人氏

後継者の息子さんと・・・

※写真は訪問した4月22日に撮影しました。

2014年3月17日月曜日

育成牛の標準化!!“from okoppe”

 昭和の頃、アブレストパーラーだった施設を育成牛舎として使っています。
 15頭を飼養していますが、以前は全頭が一度に採食できませんでした。




採食スペースが頭数分なかった。


食い負けする牛が発生。


連動スタンチョンを自前で取り付け、出入口も新たに装備。


12ヶ月齢前後で種付け直前の後継牛達。
牛群が揃って発育良好。飼槽も自前。


牛床はオガクズで気持ちよく。
(平成26年3月12日投稿)

2014年1月16日木曜日

乾物摂取量を把握する 

 興部町の牧場では月に1回、採食量調査を実施して、飼養牛の乾物摂取量を把握します。効率のよいメニューをフレキシブルに設計し、生乳生産維持拡大を図るとともに、残飼料(食べ残した量)を減らしてサイレージ在庫確保にも役立てます。


TMR調製の際、ミキサー付属の重量計にて給与飼料を計量


グラスサイレージも計量

TMRを給与


次のTMR給与前に残飼料を集める


残飼料をバースケールにて計量

※TMR給与量にトップドレスを加えて、残飼料を差し引き、牛群1頭当たり平均乾物摂取量を算出
※グラスサイレージの分析は定期的に実施

2013年10月1日火曜日

乾乳管理がすべてを決める!!

 興部町の牧場で、昨年改良された乾乳舎です。
フリーストールをフリーバーンへ変え、牛床にはまずバーク堆肥を、その上にオガクズを敷いています。
“好きな時に寝て、好きな時に食べて、分娩も自然に!!”が基本です。

 ストレスを感じさせず、牛体も汚れなく、しっかり良質乾牧草を食べているため、強い牛ができるそうです。

 母牛が強くなると、生まれてくる子牛も強くなる。すべてがうまくいく訳です。

 この牧場では乾乳舎を改造してから、病気になる牛がいなくなり、獣医さんもビックリしています。

居心地はサイコー

わっさわっさ食ってます

牛体に汚れなし

確かにすてきな寝床

りんごっこ腹